2017年10月23日月曜日

2017年10月8日

2017年10月8日 礼拝説教要旨
「み言葉をください」 宇野 稔牧師
ルカによる福音書7:1~10節
 一人の百人隊長が出ています。9節によればこの人は「これほどの信仰はユダヤ人の間でも見たことはない」と、イエスが云うほど信仰を証しした人です。悪名高いヘロデからも高い評価を受けていたのです。具体的には5節、ユダヤ人を愛し会堂を建てたともあります。善行の人だからイエスがその信仰を誉めたと受け取りがちですが、よく聖書を見ると、百人隊長の行動ではなく伝言に含まれていた内容です。即ち7節「わたしの方からお伺いすることさえふさわしくないと思いました。一言おっしゃって下さい。」この言葉が中心であることは確かです。この言葉を英語の聖書を見ますと「say the word」「speak the word」と訳されています。つまり、言葉があるだけではなく「話す」、「声に出す」ということが強調されているのです。百人隊長が求めたものは「あなたの言葉を聞かせてください」「私の魂に響かせて下さい」という意味が強い言葉なのです。百人隊長である彼は他人と比べて具体的な大きな力を持っていたのでしょう。会堂を建てる程の富を持っていたでしょう。周囲の人たちからの信頼もありました。まことに人間としては立派で力のある人なのです。
 しかしながら彼は、今愛する者の苦しみの前で全く無力なのです。人間とはそのようなものなのです。どんなに立派であり力あるように見えても、私たちは最も根源的なところでは無力なのです。百人隊長は、愛する者の死の苦しみを前にしてその自分に気づいたのです。
苦しんでいるのは、救いを求めているのは、百人隊長なのです。自分の無力さと、自分の弱さ、貧しさ、そんなものを嫌という程知った百人隊長は「み言葉をください。私の魂に、あなたの言葉を響かせて下さい。」その言葉で慰められ、生きる力を得るのでしょう。「それが出来るのはあなただけです」と語ったのです。だからイエスは「これほどの信仰を見たことはない」と云われたのです。

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